Adobe MAX2021 佐藤可士和セッションを聞いて
https://www.adobe.com/jp/max.html
Adobe MAXで佐藤可士和さんのセッションを聞きました。国立新美術館で開催された「佐藤可士和展」も見に行きましたが、お話をちゃんと聞くのは今回が初めてです。
デザインの世界は、以前は広告・プロダクト・グラフィック・UIなどのデザイン分野の間に壁があり、それぞれのデザイナーは、自分の専門領域以外は別の世界のこと、という意識が強かったと思います。
しかし、UXという考え方が浸透してきたくらいの時期から、その壁が低くなってきたと思います。デザイン分野の壁に限らず、デザイン以外の領域にも及ぶ、柔軟な取り組みの必要性を感じることが増えました。
今回のセッションは、そういった意味でも、共感できる話題が多くありました。
佐藤可士和さんは、「ふじようちえん」の事例では、半年かけて全国の幼稚園をまわり、「幼稚園とはどういうものか」をまず知ることからはじめ、幼稚園の本質とは何かを考えていったといいます。
そこで得た気づきから、「遊具がおいてある=幼稚園」ではなく、建築自体が幼稚園の本質を表すことができるよう、園舎を巨大な遊具に仕立てていく、という構想を立てるに至ったそうです。
対象となるものは異なりますが、このデザインプロセスは、私たちが医療機器のデザインをするときのプロセスに非常に似ていると思いました。
まず現場をとにかく調べること、本質が何かを考えること、依頼主がどうしたいのか、言葉に表現できない部分の要求事項も読み取ること。
依頼主にとってはあたりまえすぎて、気づいていない強みを引き出したり、深い部分の問題点を考えたりするところにも共通点を感じました。
セッション最後の「自分の心が動いていないと人の心は動かせない」という言葉はクリエイターなら誰もが大切にしたい言葉です。
思いを込めて、自分ごととしてデザインしなければ、良いものはできません。
対象が違っても、デザインの基本は同じ。今後さらに従来のデザイン領域はシームレスになり、それに対応できなければ、生き残るのは難しい。そんなことを感じたセッションでした。
メンバーの好きな映画3選!!Part-2
好きな映画3選シリーズ!パート2です!パート1から時間が空いてしまいました…
今回はわたくしYの3選をご紹介させていただきます!
1本目は『映画大好きポンポさん』
出典:https://eiga.com/movie/91732/gallery/25/
(C)2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会
今回このシリーズを執筆するきっかけとなった作品です!原作コミックでキャラクターの初登場時にプロフィールを見せる代わりに、そのキャラクターが好きな映画を3つを挙げることで趣向や人柄を表そうとする手法をとっていて、ストーリー性にもマッチしている面白い手法だなと思い、ジャイロメンバー同士の趣向などの理解を深めるために企画しました。
映画に携わるクリエイターを描いたアニメーション映画で、可愛らしいキャラからは想像できない、クリエイターの性を迫力満点で描いた素晴らしい作品です。
語ろうと思えばキリがありません…!!少しでも創作をしてきた人には是非見てほしいです。何かに熱中しすぎている時間、他の人には理解できないであろうことを突き詰めている自分に寄り添ってくれるでしょうし、原作にはないオリジナル要素が加わったことにより、「自分には熱中できることがない、創作などできない」と思い詰めている人にも見てほしい作品になっています…!!!創作に固執した主人公と対称の熱中できるもののないキャラクターは何をするのか、彼は映画ではなく何を作ったかに注目です。
このポンポさんという作品は、そもそもが企業の没企画から始まったものであり、埋もれさせるには勿体ないと思った原作者がコミック1巻分の話数を完成させネットに載せたことが発端でした。ネットに挙がると大好評に大反響の嵐!しかもアップしてから数日でこの劇場版の制作も決定と、原作も続編と外伝と続くこととなりました!
しかし映画公開時期が決まったもののコロナ禍の影響で公開延期に…それでも6月公開後着々と上映劇場を拡大していきフィルム上映企画のクラウドファンディングも成功ととてつもなくエネルギーのある作品だと改めて感じられました!
劇中で登場するヒロインが素人役者から大御所企画のメインヒロイン役に抜擢される展開があるのですが、本作品自体の主題歌を担当することになったアーティスト(CIEL)もデビューが決まると同時に本作品に抜擢されたりと作品と現実の制作進行のシンクロが数多くあり、作品を知れば知るほど感動できます…!!
最後に、ご鑑賞する際は映画の「上映時間」というものを意識して、ご覧ください。
2本目は『パシフィック・リム』
出典:https://eiga.com/movie/57692/gallery/8/
(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LCC
最高の怪獣vsロボ映画。日本の怪獣・ロボ文化へのリスペクトを最高潮に昇華させた作品。とにかく熱い…です!!
続編やアニメ版もありますが断然無印です!!年に1度はお祭り気分で見たくなる作品ですね!
日本の特撮やロボット、怪獣文化が大好きなデルトロ監督による数々の演出は雄叫びを上げたくなるほど胸が熱くなるものばかり!企画当時は狂気の山脈の映像化が頓挫したこともあってかそのエネルギーが全て本作品に注がれたのかもしれません。
なによりテーマソングがかっこいい、きたぞきたぞ、反撃の時だぞとテンションがどんどん上がっていきます!!
主人公らが搭乗する機体(イェーガー)も各国が開発した機体ごとに特色が現れていてデザインに愛着が湧きます!
そして雨天高や海中、海上での戦闘が多いのですが、水飛沫があることにより、それがイェーガーの躯体に当たり、跳ねることでCGではない現実感を助長していて最高の存在感を出しています。
怪獣のデザインもどれも凶暴さや特徴が現れていて凄まじいです…!勿論戦闘シーンはどれも最高です!!海中で戦う時は怪獣が見えずに動き回るの緊張感、地上で戦う時のイェーガーの大胆さ、どこも演出がこりにこっています!!
ロマンあふれるイェーガーの設定、怪獣はどこからきたのか、最後のシーンはハリウッドのお約束を打破!観賞後の満足感は素晴らしいです!!
本作品は吹き替え版も素晴らしいのですが、イェーガーの技名に変更前と後があります。変更前は原文と同じく「エルボーロケット!」変更後は「ロケットパンチ」です。わたくしはエルボーロケット派です!!日本のロボアニメの代表技としてロケットパンチは多くあるわけですが、それをそのまま起用するのではなく、リスペクトを込めてオリジナル要素へと昇華させたエルボーロケットに尊さ、ロマンがあると思うのです。ロケットパンチを吹替で言ってしまってはそれは行き過ぎたファンサービスというか媚びに近いと感じてしまいます…と個人の好みはありますが台詞回しはどこもカッコいいです!
観賞後はきっとイェーガーに乗りたくなるはず!!(一人では操縦できませんが)
3本目は「LIFE!」(原題:The Secret Life of Walter Mitty)
出典:https://eiga.com/movie/79144/photo/
(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
『ナイトミュージアム』などでお馴染みのベン・スティラーが監督、主演とつとめた作品です。
現実でも2007年まで発行され、世界で幅広く読まれていたアメリカのグラフ誌「LIFE」の社員を主人公に「人生と仕事と冒険」を描いた映画です。
劇中で映されるグリーンランドなどの雄大な自然の景色と挿入歌が最高にマッチしていて、旅に出てみようかなと思わせてくれます。誰しもが物思いに耽って、理想の自分や未来を考えてしまう時があると思います。本作品の主人公、ミティーもそんな気質があるわけですが、そんな人だからこそ、ふと胸に沸いた好奇心に従えば思いも寄らぬ変化が自分の人生に訪れるかもしれません。少しの勇気で人生はとても豊かに感じられ、多くのことを得られるのだと思います。
そして、この作品が伝えたいもう一つのメッセージはきっと、どんな仕事でも見てくれている人はいるということだと感じました。主人公は有名なLIFE誌に携わっているわけですが、部署としては地下の薄暗い部屋で写真管理が担当です。高層階の社員がオフィスで悠々と働いている姿に比べると華々しい職とは言えないでしょう。それでも主人公はその明暗さを気にせず粛々と仕事に打ち込んできています。その結果ラストのシーンはすごく報われた気持ちにさせられます。どんなに光の当たらないと感じる仕事でも誇りを持って取り組もうと思えるでしょう。
劇中のLIFE社オリジナルと思われますが、社訓がとても好きです。中でも「壁の裏側を覗こう」というフレーズが好きです。
幼少期には誰もが持っていただろう壁の裏側、細い路地裏への好奇心はきっと働く大人になっても必要なことだと言ってくれている気になれます。
以上Yの好きな映画3選でした!
自分の好きな映画となると筆を止めるのが大変ですね!!
UI/UXデザインクイズ!
今年の4月、Medtec Japan 2021にて、弊社がブース(no.1231)で、お配りするために制作したUI/UXデザインクイズのチラシをもとに作ったキャプション動画です。
クイズは当初、ブースのipadで確認いただけましたが、改めてムービで公開させていただきます。
UI・UX Designにご興味、ご関心があるかたは、お気軽に弊社にお問い合わせください!
Dialogue by Designship登壇レポート
10月6日に、「Dialogue by Designship with GOOD DESIGN AWARD」でお話をさせていただきました。
以下に簡単なレポートを記します。
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パネルディスカッションは、前日に3つのテーマが提示されたのみで、事前の筋書きはなかったので、本当にぶっつけ本番でした。どんな展開になるのかわからないので、前の晩から伝えたい内容を片っ端からメモしていきました。
19時からの配信開始にあわせ、会場に18時集合でした。当日は授業を2コマ担当した後、余裕を持って早めに六本木に行き、授業から頭を切り替えて集中するためにカフェでメモを書き続けました。
10月に入ってから暑い日も寒い日もあり、服装も直前まで決められず、全てが予測不能な状態でした。
会場は六本木ミッドタウンのデザインHUB。展示や打ち合わせで何度も行ったことがある場所なので、事前に会場のイメージはできていました。
18時少し前に会場に行くと、既にカメラやPCなどの撮影機材が設置され、ディレクターやカメラマンなどたくさんの人が揃っていました。登壇者とモデレータが集合したところでリハーサル開始。その後簡単なすり合わせをしていると、もう本番10分前。
お茶を足元に置いてもいいか、と聞くと、ラベルをはずすようにとの指示。今回スポンサーはついていませんが、徹底しています。
収録が始まると、各自のプレゼン以外は全てアドリブで話が進行します。予想外のフリが来ても、何とか話をつなげなければならず、とにかく必死でカンペのメモをチラ見しながら話します。
そのとき、カメラマンの方達が、しきりに頷いてくれるのがとてもありがたかったです。テレビなどのトーク番組もそうなのかな?自分の話を聞いて、頷いてくれる人がいると、自己肯定感が生まれ、かなり不安要素が消えて話しやすくなるものなんですね。
プロの仕事だと感動しました。
4人の登壇者が順番に話をしていくと、意外に時間がなく、時計を見ると、なんともう終了5分前。全然言うべきことが言えてないように思い、頭がぐるぐるして、最後の一言を必死で探します。
あっという間に1時間半が過ぎ、終わったあと、みんなどっと倒れ込むように力を抜いていました。ほんとにお疲れ様〜。
登壇者同士は、対面で会うのが初めてだったので、名刺交換をしようとしたところ、コロナ禍で久しぶりに社外の人に会うという人が多く、名刺というものの存在を忘れて持ってこない人が続出していたのが可笑しかったです。
帰りの電車のなかで、会社のチャットを見ると、みんなで鑑賞会をやりながら、twitterやYouTubeにたくさん発信してくれていました。
また、知人からもたくさんコメントや書き込みがありました。
お知らせしたいろいろな会社や大学、病院関係のみなさまからも、申し込みの連絡を多数いただき、終了後に感想を送ってくださった方もありました。みなさまありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
あとから「もっとこう言えばよかった」「この話も入れればよかった」などなど、反省点がフツフツと湧いてきますが、素晴らしい登壇者の皆様との繋がりができたこと、一緒に話題を共有できたこと、言葉に尽くせない貴重な経験になりました。
ここからは、メモを準備しながら、当日は時間の関係などでお伝えできなかったことを記しておきます。twitterでも少しずつつぶやいたりしていますが、また機会があればお話ししたいと思います。
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●医療系プロダクト独特の課題について
・デザインプロセスそのものは、医療機器でも、そうでないものであっても、大きくは変わらない。
ユーザーについてしっかりリサーチし、どういう人がどういう場面で使うのかを考え、どう伝わればわかりやすいかを考えるのが全てのデザインの基本だと思う。
しかし、医療機器ならではの、独特なポイントもある。それは以下のようなものである。
1)医療機器と一括りで言っても、対象分野が多く、診療科ごとに治療法も機器の仕様も異なるため、デザインする際に一から勉強しなければならないことが多い。
2)医師、臨床工学技士、看護師など医療機器を使うペルソナがさまざまなので、誰がどういうシチュエーションで実際に操作するのかを理解する必要がある。それには現場観察やペルソナごとのユーザーテストが欠かせない。
3)専用端末が使われることが多いので、技術的な要件に則ったデザインをする必要がある。また設計部門とのやりとりが多く、遷移や仕様をきちんと理解したうえでの対話が必要となる。(これはBtoBなら他の分野でも当てはまると思われる)
●医師と患者との関わりについて
・弊社の通常の業務ではBtoB製品が多いため、メーカーさんとのやりとりが多いけれど、現場の医療従事者とのつながりも大切で、そろそろきちんとバックアップ体制を作りたいと思っている。デザインデータを納品すると業務が終わりになってしまうが、できるだけその後のヒアリングやアフターフォロー体制をつくり、追跡調査を行いたい。
・自分や家族が患者として病院に行くときは、病気の疑いがあるか、治療をする などの状況で、不安や恐怖感などのネガティブな感情であることが多い。衛生的な観点から、無機質なつくりをしている病院が多いことは理解できるけれど、少しでも患者や家族に安心感を与え、穏やかな気持ちになれるように変われる部分はまだまだあるはず。そのために、デザイナーができることはたくさんあると思う。
●今後の展望、解決すべきこと
・医療従事者は機械に慣れようとしてくれる。IVRや内視鏡などの治療は、患者にとって負担が少ないかもしれない。だけど、機械の操作に慣れるため、多くの時間をかけなければならないとしたら、医療従事者の負担が増えてしまう。そのバランスが難しい。
・医療機器に限らず、「使いやすいアプリ」「使いやすいソフトウェア」を設計することはとても大切だけど、さらにそれを「使いやすそうに見せる」ことも大事。実際に使ってみなくても、一目見て「使いやすそうだな」「使ってみたいな」と思ってもらえるようにするのは、デザイナーの役割だと思う。
そのために、デザイナーは表現力を磨かなければならない。