東京都品川区西五反田5-5-5
JR山手線/東急池上線/都営浅草線 五反田駅より徒歩10分
東急目黒線 不動前駅より徒歩5分
ジャイロの制作室は西五反田の日当りの良いビルの4階にあります。
窓の向こうには首都高速2号線の路面が広がり、明るく開放感のある室内。
オフィスのインテリアは「ジャイロカラー」のレッドが基調となっています。
ジャイロでは、1992年の設立以来、「学習・教育」「GUIデザイン」「オリジナルアプリ」を3本柱に据え、数々のコンテンツ制作やデザイン業務を行ってきました。
使う側の気持ちになったモノ作りを基本とし、目的に合わせた使い勝手とデザインには徹底したこだわりを持ち、数々の仕事に取り組んでいます。
メンバーに、これまで手掛けた仕事の経緯やさまざまな思いを聞いてみました。
●設立して24年になりますね。
設立当時は、今のようにインターネットが普及していない時代だったので、機器の組み込みソフトやPC用のアプリを主に作っていました。
設立メンバーが元々所属していたソニー時代の経験をベースに、電機メーカーや通信メーカーの仕事をするところからスタートし、時代の流れとともに対象となる機器も変化してきました。
●オリジナルアプリ「漢字でQ」をつくった背景を教えてください。
リーマンショックで仕事がかなり減ってしまった時期に、「漢字でQ」の試作版をPC向けに作ってあちこちの会社に営業したのですが、なかなかモノになりませんでした。そんな時、日本でもiPhoneが発売されたのです。
これなら自分たちでも開発や販売ができるんじゃないかと、自社でのリリースを決意し、手探りで何とか完成にこぎつけました。
すると、なんとリリースから1週間ほどで有料アプリ総合ランキングの10位に入り、スタッフ一同、本当にびっくりしました。
「結局、「漢字でQ」は、その翌年にリリースした『常識でQ』と2年連続でAppStoreのベストアプリに選ばれました。これは大きな励みになりましたね。
●情報機器や医療機器などのGUIデザインは、難易度が高いのでは。
GUIデザインは、機器の設計担当の方と何度も打合せをし、分厚い仕様書を読みこなさなければなりません。
複雑な情報をどう見せればわかりやすくなるのか、とても頭を使います。
技術的な制約も多く、その中で、時代に合わせた表現をするのは、経験を積まないと、なかなか難しいかもしれません。
業務用のGUIデザインは、画面数や要素も多く、地道にていねいに組み重ねて行く作業や、膨大なデータ管理なども重要で、ともすれば無機的な表現になりがちです。そんな場面でも、使う人が豊かな気持ちになってくれるような、ちょっとした工夫を取り入れていきたいですね。
アプリのGUIデザインは、もう少し自由な表現が可能なので、ターゲットに合わせていろいろなテイストや世界観を考えるところから始めます。わかりやすく使いやすいことは基本ですが、商品である以上、人を夢中にさせたり、すごく好きだと思ってもらえるような魅力あるものが作れたら、と思っています。
●学習コンテンツには多くの実績がありますが、今までに何本くらい制作しましたか。
子ども向けの学習コンテンツは、通算すると700本以上制作しています。
『ゲーミフィケーション』という言葉がありますが、ゲームというのはゴールが明確であり、競争要素を持つメカニズムが教育と相性が良いと言われています。
ジャイロでは早くからこのような考え方を取り入れ、『楽しく効果的に学べる』コンテンツ制作を実践してきました。
●子ども向けタブレット教材にも、立ち上げ時から携わっていますね。
タブレットを使った本格的なインタラクティブな教材は、立ち上げ当時、ほとんど例がなかったので、紙の教材との違いをどう出すか、どうすればタブレットならではの学習ができるのかなど、最初は試行錯誤の連続でした。
何度も試作を作ったり、打ち合わせをしたり、長い時間をかけて検討しました。
●教材制作ではどんな苦労がありますか。
子どもたちに教材の内容を正しく伝えるためには、自分でも教科の内容を読み込んで理解し、把握できていないと制作ができないというところです。たくさんの教科書を見比べて、同じことをどんな風に表現しているのかもチェックしています。
UIの部分でも、動きや操作の順番や目線の動きをどうすればスムーズに次の学習につなげられるか、子どもたちが飽きずに興味を持って取り組んでくれるかを考えながら制作にあたっています。
限られたスケジュールの中で最大限のクォリティを追求しなければならないので、スケジュール管理をはじめとする、プロジェクトマネジメント力も問われます。内部のメンバーはもちろんですが、外部でお願いしている会社やフリーの方々が本当によくやってくださるので、ありがたいです。おかげで、スムーズに進めることができています。
私は途中から制作に加わりましたが、制作チームのチェック体制が徹底しているのに驚きました。チェックの網は相当細かいと思います。問題を見つけて解決する姿勢が半端ではないですね。
●どんなところに仕事のやりがいがありますか。
受注の仕事も、オリジナルで制作したものも、作ったものが喜んでいただけること、これに尽きますね。
ユーザーの方々からの反応も、とても気になります。子ども達からコンテンツの評判が良いと聞くと、ほっとします。作るのが大変でも報われた気持ちになりますね。
もちろん、関わったものが受賞したり、雑誌やカタログ、TVCMなどのメディアに掲載されたりするのも、大きな励みになります。
●今後やってみたいことは、どんなことですか。
とにかく、大人も子どもも、皆がワクワクするようなコンテンツを作ったり、デザインしたいです。
難しそうな内容のものでも、デザインの力で可愛らしくしたり、スタイリッシュにすることで、世の中を楽しくできるといいですね。
新しい技術の応用もいろいろ考えたいです。たとえば、ヘッドマウントディスプレイを使った教育コンテンツとか、VRを使って、360度の方向で3Dゲームを作るのも面白そう。恐竜の世界に飛び込んだり、教科書には載っていないことをリアルに体験できそうです。
●ジャイロの目指す方向は、どんなところにありますか。
どうすれば、おもしろく、人の役に立つものができるのか、ということを常に考えて行きたいです。変化を恐れず、新たな技術や新たな表現に挑戦することをどんどんやって行きたいですね。
少子化、高齢者社会において、人とテクノロジーの関わり方が今後どう変わっていくのか、とても気になります。人間と機械の良い関係を考えながら、ジャイロのできる形で世の中に貢献していきたいです。